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G1九州:田坂広志先生の話まとめ

『リーダーが定めるべき覚悟、それをたった一つ挙げるとしたら、「死生観」だ。』

G1九州、最後のセッション田坂広志先生のご講演があまりにも素晴らしかったので、ここでシェアします。経営者は、部下や社員の人生を預かる者。そのためには、命に対する深い眼差しが必要だということです。

我々は死生観を得るための前提として、人生における三つの真実をまず認識しなければならない。

①人は必ず死ぬ ②人生は一度きり ③人はいつ死ぬかわからない

この事実を我々は認識して生きているだろうか。人はいつか死ぬ。当たり前のことだが、ともすれば人はそれを忘れようとする。下手をしたら人の欲望やら何やらは、その事実を忘れるためにあるのかもしれない。最後の瞬間まで、死から目をそらすために生きているのかもしれない。

これらの事は知識として知っている人は多い。しかしそれを実践して生きている人は、どれくらいいるだろう?当たり前のことだが、死を見つめながら生きることは辛い。ステイーブ・ジョブズのメッセージにあったように「今日が人生最後の日」と考えながら、毎日を生きることは並大抵のことではない。

ところで、死生観を育むための方法が三つある。「戦争」「投獄」「大病」、これらの試練は人が生と死に向き合うための良い材料となる。しかし、今の若い世代にこの苦しみを知る人は少ない。

では、我々に死生観を育むチャンスがないかといえば、そうでもない。例えば、震災などは唐突に大量の人の命を奪う。我々はどこにいても常に死と隣り合わせに生きている。しかし、喉元すぎれば...ではないが、東北の震災ももう遠い彼方に忘れている人が多いのではないか。

あなたの死生観を見つけなさい。死生観を育めば、リーダーに必要な三つの光明がもたらされる。

①時間の密度が変わる:後30年生きれると何となく感じている人と、後30日の命だと宣告された人とで、時の密度は自ずと変わるだろう。

②逆境に強くなる:死を見つめた人は、大抵のことに動じない。肝がすわる。腹がすわる。

③使命をつかめる:命をどう使うのか?そこにたどり着く。命は時、時は命。その大切な時を、命を、あなたは何に使うのか?

本当の使命に気づいた時、あなたは限界から解放されるだろう。そしてその使命とは、己一人の欲望を実現させるだけの小さな野心であってはならない。使命、言い換えて「志」とは、己個人で成し遂げることができない大いなる夢を未来へ受け継ぐ「祈り」なのだと。

会場全体の空気は張り詰め、皆はその言葉を一言一句聞き逃すまいと静まりかえっていましたが、講演が終わった瞬間に、割れるような拍手が鳴り響きました。

リーダーに必要なのは「死生観」、考えもしなかったこのキーワードに私はただただ圧倒されていました。G1九州の最後に頂いた、大きな宝物です。このような機会を与えてくれたG1ボードメンバー、先生方、そしてともに過ごした仲間たちには、感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました。

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